【政策形成研修】既存データを活用して、企画を考える研修を実施してきました。

先日、大分県にて「企画力・創造力研修」を実施してきました。
2日間の研修でしたので、大きくインプット編(企画・政策形成を行うための必要情報の習得)とアウトプット編(柔軟に発想し、アイデアを発散・収束技法の習得)に分け、最後に大分県の行政データを活用しての総合演習という構成です。ここではインプット編で紹介し、私が政策立案に必要と思われる点について記してみたいと思います。

出発点はデータからである

現状の結果を示してくれるものが「データ」です。数字で測定することができる「定量的データ」もあれば、数字では測定できない「定性的なデータ」もあります。
行政の職員の方は「説明責任」がついて回りますから、「なぜ、この政策が必要なのか」「現状はどうなっているのか」「政策が効果を発揮すればどのような効果が期待しうるか」といったことを説明しなくてはなりません。
あたり前の話ですが、そこでいくら自分の「想い」だけを述べても人は動きません。
古代哲学者のアリストテレスは人を動かす3つの要素として「ロゴス」「パトス」「エトス」の3つを挙げていました。
ロゴスはロジック。データから導かれる結論が論理的でなければ人が動きません。2つ目はパトス。英語で言えばパッション。情熱的に語ることが必要です。3つ目はエトス。これは英語ではethics「倫理」と訳されますが、この場合は日ごろのその人の信用度という意味合いです。「熱い思い」も大切なのですが、加えて「データからの論理づけた結論」が当然に必要になってくるのです。

 

データは結果は示してくれるが結論は教えてくれない。

データは「結果」は示してくれます。外国人観光客が増えた・減っただの、農業者の所得が前年比増えた・減ったなどなど、最近ではネットを検索すると膨大なデータを収集することができます。
ただし、なぜ増えたのか、減ったのか。この傾向はこれからも続くのかなどなど、結論はか自分で読み解いていかなくて行けません。
データを集めるとまずは以下のような作業をやってみることをお勧めします。

 

  1. 時系列
  2. 比較
  3. 比率

時系列

文字通り、時間の経過に沿ってデータを並べていきます。急激な上昇や加工は要チェック。まずはそこに着目し、その原因や背景を考えてみることがデータの見方の第一歩です。

比較

「全体と部分」「今年度と過年度」「若年層と高齢層」などデータを比較してみていくこともデータの見方の基本です。例えば農業所得分布が日本全国とA県が異なるとすれば「どこが異なるのか」「なぜ異なるのか」などが考える視点として浮かんできます。視点の絞り込みがデータを見るうえで重要です。

比率

A県では近5年、訪問外国人観光客数も外国人宿泊者数も右肩上がりの傾向を示していました。それはよいことなのですが、一方で外国人宿泊者数を訪問外国人数で割った「外国人宿泊率」は横ばいから右肩さがりの傾向にありました。オーバーツーリズムというか、機会損失が発生してる可能性もあります。実数では見えにくいものが、比率にすることで見えてくることもありますね。

帰納法で共通項を探してみる

論理の構築として代表的なものとして「演繹法」と「帰納法」というものがあります。前者は大前提が決まっていて、事実があり、結論を導くというもの。代表例として三段論法があります。
「動物は必ず死ぬ」(大前提)
「人間は動物である」(事実)
「人間は必ず死ぬ」(結論)

一方帰納法というのは数あるデータから共通項を見出すというもの。
1)X社ではインターンシップ制度を活用することで、新入社員定着率を5ポイントアップさせた。
2)Y社では、内定者にY社での入社前アルバイトを推奨し、新入社員定着率を2ポイントアップさせた。
3)Z社では、同社でのアルバイト経験者を積極的に採用し、新入社員定着率を5ポイントあげた。
導かれる結論(共通項)「入社前に、学生に仕事内容のほか会社の雰囲気や人間関係を知らせておくことは、定着率の向上に役立つのではないか」

データを読み取る場合、共通点や相違点を探していくのも着眼点の1つです。

下は「5年間の小売業販売金額」の推移ですが、このデータからどのような結論を導くことができるでしょうか。もちろん答えは1つではありませんが。

国内小売業における主要販売窓口の販売額

(単位:兆円)

 暦年 百貨店 スーパー コンビ二 ネット
20×1 8.1 12.9 7.9 6.1
20×2 7.2 12.6 8.0 6.7
20×3 6.8 12.7 8.1 7.8
20×4 6.7 12.9 8.7 8.5
20×5 6.6 12.9 9.5 9.5

データの読み取りには正解がない

実際のデータ読み取りでは最近では都道府県別の「えるぼし認定企業数」を使うことが多いです。
「えるぼし認証」とは何かというと厚生労働省のホームページには下記のように説明されています。

女性活躍推進法に基づき、301人以上を雇用する事業主は一般事業主行動計画の策定・届出が義務化された。(平成28年4月1日より)300人以下の企業は努力義務となる。

行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な企業 は、都道府県労働局への申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができる。「えるぼし」マーク認定の優遇措置としては、1 公共調達における加点評価 、2 日本政策金融公庫による低利融資などがある。

ここでは「一般事業主行動」の策定・届出が義務付けられている企業と努力義務の企業があることがわかります。さらに、「一般事業主行動」を届け出た企業の中で「えるぼしマーク」を申請している企業があることがわかります。
厚生労働省では各都道府県別の届出企業数、えるぼし取得企業数などの数値が公表されています。

都道府県によりばらつきはありますが、「義務ははたしているが、積極的な改善はいまだ道半ば」という感じです。
ここでみなさんにデータを見て考えていただきます。

1 「えるぼし認定取得」に関して、自分の県は問題があると思うか、特に問題はないと考えるか。
2 1で出した結論の理由
3 今後考えられる自治体の対応

義務は果たしているわけですから、自治体の対応としては問題ないという結論もあるでしょうし、今一つ浸透していないという点に着目すれば「問題あり」という結論も当然あると思います。
当然のことですが、データの読み取りに正解は1つではありません。。大事なことは「結論」とその「根拠」が整合性が取れていることです。
グループワークで論理的な思考やディベート力も養っていただこうと思っています。


図式化して問題の本質を浮かび上がらせる

情報を収集すると次は情報整理ということになります。ここでは4象限のマトリックスやMECEなどの活用によるツリー図の作成など、図式化して整理する方法やキーワードを洗い出して、それぞれのキーワードを因果・包含・並列などで関係性を結んでいく練習をいたします。多くの線が集まる情報をボトルネックととらえます。こうすることで、表面上で見えている現象の真因をあぶりだすことができます。
研修では「えるぼし認証」のデータから、「女性の積極的進出が悪れている理由」をまずは図式してもらい、そして「行政はどのようにかかわるべきか」といったことを討議してもらっています。

 

最近ではRESASの活用などを経済産業省の方々が自治体を回って講義されていたりもします。(私も、さる県のご配慮で受講させていただきました)
データから施行することの大切さを政府も普及しているようです。

データから考える政策形成研修にご興味がある方は、お声掛けください。

 

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